水銀中毒
水銀中毒になったことがありますか?私は2度あります。
金消しとは金鍍しとも書きます。水銀と純金を合金とした金アマルガムというものを金属の表面に塗り、温めて水銀だけを空中に飛ばして金を焼き付ける古代の鍍金(めっき)方法です。金消しとはよく言ったもので、水銀の中に金を入れると すっと金が消えたようになります。髪の毛よりまだ細く純金を切りなさいと教わりましたが、佐藤金銀店の分析精錬で出てくる純金のパウダーが非常に細かくて、アマルガムがクリーミィになり大変良い効果を得られます。
水銀が飛んでいる間は目に見えないので、まだその恐ろしさを知らなかった私はついうっかり、よく見ようと顔に近づけて作業をしていると 突然目の前が真っ暗じゃなくて 真っ白になりました。何も見えず、桂師匠が「毒消し買ってくる」と日本酒を下さって それを飲むと血の巡りが良くなってますます悪化し、頭痛が酷くて死ぬかと思いましたが時間が経つにつれて収まり、急には死なないものだと体感しました。水銀はやがて髪の毛や爪に混じって体外へ出て行きますが、その間は血液中にあって巡っているのか 数日経って突然また目の前が見えなくなることがありました。今もちょっとでも水銀の匂いを嗅ぐと あの独特の感覚に襲われてしまって怖くなりますが それでもやりたいと思ってしまう程 金鍍金は非常に美しく品があり魅力があるのです。
桂師匠の師匠である 桂盛行先生は大変貧乏だったそうで、この金ケシをいかに少量で効果的に焼き付けるか の天才だったと思います。桂師匠は更に 厚くケシをかけられるのでとても豪華です。
私は師事して10年くらいしてやっとケシが自分でも巧く出来るようになったと思います。それまでは ムラになったり固まったり倒れたり、ケシは大嫌いだったし、どんなに気をつけてもアマルガムが ぴっと、床にこぼれていました。純金の板で床を撫でると、金アマルガムは喜んでくっついてきます。今はそれが無いのが当たり前なので 何であんなにこぼしたのかなと思います。
体に異常となって現れるのも個人差があり、私は視神経に来ますが 桂師匠は歯茎、鹿島和男さんは胃にくるそうで、吐くそうです。借金の利子と同じで早々に症状が現れて対処できるほうが良いと思われる、お名前を忘れましたが前髪にびっしりと水銀の玉をくっつけて平気だったという作家さんは その内に体中ががくがく震えて止まらなくなってしまって仕事が出来なくなられて 亡くなられるまでずっと震え続けたそうです。毒物はそれぞれどこに障るかは特徴があるようで、水銀は神経系に来るようですね。
このように金鍍金を施してある作品は命を削ってますので 高価なのをご理解下さいまし!
続きはまた明日。
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コメント
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クラさん コメントをありがとうございます!
消しは目に見えないだけに大変危険ですので、設備の無いところではやらないでくださいね。
アマルガムはお使いになるまでは学生時代の記念として持っていて下さい。
どうしても要らないときは買い取ります
投稿: 田村尚子 | 2011年7月29日 (金) 10時28分
こんにちは。勉強になります。
金消し学生の頃やりましたが、
中毒防止に換気と空気中の水銀回収装置がある部屋で無いとやらせてもらえませんでした。卒業後アマルガム手元に残ったまま、設備なく使えません。
自分でやるには怖くて。。。
投稿: クラ | 2011年7月29日 (金) 08時07分