鉄
道具というのはほしい時に買っておかないと後々手に入らないことが多々あります。
彫金家にとってなくてはならない鏨、1号サイズで10年前は100円でした。それが私が最近覚えているのでは150円になり、現在は250円だそうです。
赤鏨の材料は刀鍛冶が使うようないい材料もあれば、なんだかいろいろ混ぜ合わせて形にしただけのような粗悪なものもあります。本当に良い鏨は今のうちに買われると良いと思います。
とはいえ、古代の価値からすると鏨を250円で買えるのはやはりお安いようです。人を殺傷する能力や農耕能率を各段に上げる鋼は金と同等の時代がありました。
鉄の歴史は世界から比べると日本は遥かに遅れて始まっています。
人類が手にした金属はおそらく金に違いないでしょう。自然のままの状態でも金は色が金色で分かりやすいからです。
エジプトのアイシャドウの原料、孔雀石が炭火の中に落ちて偶然に銅が生まれたというロマンがあったかはわかりませんが銅の精錬は紀元前5500年頃のペルシャで始まったとされています。これはまだ不純物が多く道具として使われるには錫との出会いを長らく待たなければなりませんでした。
紀元前3000年頃には加工された鉄が現れますがこの時代はまだ隕鉄をたたいて伸ばしたものです。これはまだ装飾品としての域を出ないものでした。
紀元前1700年と時代がかなり下ってから、メソポタミア地方のアナトリア高原 ヒッタイト民族が現れます。隕鉄ではなく、鉄鉱石から鉄を精錬しました。高度な精錬技術と知識が生み出したものでその技術を盗み出そうと各地からスパイも送られたことでしょう。鋼(はがね)が持つ武器の殺傷能力の高さは銅と錫の合金であるブロンズ以上のものでした。
人類が金属を加工してから2500年の時を経て生まれた鉄はシルクロードを通りやっと5世紀になって日本へとたどり着くころには 青銅器時代も鉄器時代も同時に入ってくるほど鉄の文化は速いスピードであの長い道を駆け抜けていったのです。
古墳時代末期には既に輸入された鉄器が発見されています。この仏教の伝来と共に入ってきた金属との出会いの前、数千年の間日本はどうだったかというと概ね平和で何世代も代わり映えのしない生活をしていたのも驚きです。
もう一つの工房、西日暮里工房は貝塚が多くある所で ハマグリを主体とし、ヤマトシジミ、カキなどの貝類、アジ類、スズキ属などの魚骨、イノシシ・シカなどの獣骨など多様なメニューだったようですね。消費税、住民税、法人税、固定資産税 武器を輸入する際の関税も無く食費も無料ですから縄文時代は出産や病で(当時50代の高齢者の骨にガンが見つかった事例もあります)命を落とす以外は、豪族も庶民も呑気な毎日だったかもしれません。
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