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2018年10月10日 (水)

ポイント体験 ~彫り~

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銀座 尚呼ではポイント体験コースがあり、その中の一つに彫りに特化したものがあります。伝統彫金は所によっては学ぶことが出来ないようです、3日間かけて特訓して鏨を作り、彫る練習をしています。この3日間は通しでも良いし、数週間置きでも良いです。

 今回は愛知県から通ってくださった松原さんの手板をご紹介いたします。

 いつでも学べるわけでは無い環境は集中力が高まります。集中して彫り鏨も何本も作りました。一番難しい 毛彫り鏨 から始まり、丸毛彫、片切、鋤鏨、を作りました。この彫りを習得してから象嵌に移るのが一番良いです。

 もうひと昔以上前に亡くなられた東京芸術大学の平松保城先生が講演をされると聞いて もう最後の講義だと私は妙な思いに駆られて聴講に行きました。それまで伝統彫金一色で体質も非常に古かった芸大の彫金科に、新しいクラフトの風を吹き込まれたのが平松先生です。当時は何故昔の人の手板をそっくりそのまま真似したり打ち出ししたりしたのか分からなかったけれど今思えば、それで技術が手に入ったのだと、大切な事だったのだと話されていたのを強く覚えています。私が学生の頃も、技術が先か発想が先かと論争したものですが 技術が稚拙では表現はままならないし、発想が先であればデザインだけ自分でして後はお金を出して職人に任せたらいいのです。作るのが好きな人はどちらも研鑽するのが良いと思います。

 今回は過去の作家の絵を幾つか松原さんに送って、好きな画を選んで頂きました。元々彫金は日本画家が下絵を描いて、鍛金や鋳金で母体を作ってもらいそこへ彫金を施したという完全分業制でした。昔の人はやはり大変画が巧い。巧いものを彫るのはとても楽しい。

 松原さんもとても有意義な3日間だったようですぐに象嵌コースを!と言われましたけれど もう少し彫り続けてからまた是非いらしてください。

 愛知県は伝統彫金が身近ではないのか、もう一人、通ってこられている女性がいます。ポイント体験コースで多くの方に伝統彫金の楽しさ、伝統ある技術を手に入れることで自信を持って頂きたいです。

 松原さん、彫りの他、良い作品や歴史を楽しんで学ばれると良いですよ。そして何年か経って最初の手板を見たときには、色々思うことがありますのでこの手板は大切にされてください。

 

 

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