覚書

金属の歴史

 金属は火を自在に使えなければ何事も始まらないのですが 確かめようはないけれどヒトの自然火の利用が170年前から20万年前とされ、遺跡から12万年前に日常的に使われる(人為で火を熾す)ようになったのは間違いないようです。
 気が遠くなるような長い年月、私たちの祖先が誰一人欠けることなくあって今の私達があるのは感慨深いものがあります。
 金属との出会いは自然金が一番初めだったと思います。金は何にも侵されることが無く発見しやすい色をしているからです。
 紀元前9500年前に人類は自然銅を叩いて加工したようです。金工の方はご存知の通り不純物のない銅は大変柔らかいために装飾品として使われていました。
 紀元前6000年頃に人類は炭で高熱を得、紀元前5000年頃には銅の精錬が始まります。
 地味な色のために発見が遅れた錫。紀元前3500年頃に銅と3~15%の錫とを合金にすると非常に硬いブロンズへと変化するのを人は知り紀元前2500年にはブロンズは世界に広がり、紀元前1500年頃に中国へと伝わります。
 これは何を覚書して書いているかというと、人類の発明・進化というのは時代が下るにつれてどんんどんスパンが短くなってきているという事なのです。戦争が終わってまだ100年も経たない間に電化製品や車が生産され、ビデオに驚き原稿を書き直ししなくてもワープロで簡単に修正保存が出来 ポケットベルが生まれ持ち運びができる携帯電話は時を長く待たずに持ち運びが出来るパソコンのような存在になっていきました。これからもどんどん加速をあげていろいろなものが生み出されていく中で日本の伝統彫金が守られて伝えられていく事は何故なのだろうかとふと考えてしまいます。
 日本の彫金の歴史はやはり飛鳥時代からかと思います。法隆寺の天蓋に鏨の跡が見られます。
 古墳時代末期には鋳造品が輸入されており弥生時代には吾が国で鋳造がなされるようになりました。舶来品への憧れは模倣となり、中国の漢字の意味が分からないまま(おそらく記号のように)銅鏡に模した稚拙な漢字はなんとも微笑ましいものです。
 
 
 
 

 道具というのはほしい時に買っておかないと後々手に入らないことが多々あります。
 彫金家にとってなくてはならない鏨、1号サイズで10年前は100円でした。それが私が最近覚えているのでは150円になり、現在は250円だそうです。
 赤鏨の材料は刀鍛冶が使うようないい材料もあれば、なんだかいろいろ混ぜ合わせて形にしただけのような粗悪なものもあります。本当に良い鏨は今のうちに買われると良いと思います。
 とはいえ、古代の価値からすると鏨を250円で買えるのはやはりお安いようです。人を殺傷する能力や農耕能率を各段に上げる鋼は金と同等の時代がありました。
 鉄の歴史は世界から比べると日本は遥かに遅れて始まっています。
 人類が手にした金属はおそらく金に違いないでしょう。自然のままの状態でも金は色が金色で分かりやすいからです。
 エジプトのアイシャドウの原料、孔雀石が炭火の中に落ちて偶然に銅が生まれたというロマンがあったかはわかりませんが銅の精錬は紀元前5500年頃のペルシャで始まったとされています。これはまだ不純物が多く道具として使われるには錫との出会いを長らく待たなければなりませんでした。
 紀元前3000年頃には加工された鉄が現れますがこの時代はまだ隕鉄をたたいて伸ばしたものです。これはまだ装飾品としての域を出ないものでした。
 紀元前1700年と時代がかなり下ってから、メソポタミア地方のアナトリア高原 ヒッタイト民族が現れます。隕鉄ではなく、鉄鉱石から鉄を精錬しました。高度な精錬技術と知識が生み出したものでその技術を盗み出そうと各地からスパイも送られたことでしょう。鋼(はがね)が持つ武器の殺傷能力の高さは銅と錫の合金であるブロンズ以上のものでした。
 
 人類が金属を加工してから2500年の時を経て生まれた鉄はシルクロードを通りやっと5世紀になって日本へとたどり着くころには 青銅器時代も鉄器時代も同時に入ってくるほど鉄の文化は速いスピードであの長い道を駆け抜けていったのです。
 古墳時代末期には既に輸入された鉄器が発見されています。この仏教の伝来と共に入ってきた金属との出会いの前、数千年の間日本はどうだったかというと概ね平和で何世代も代わり映えのしない生活をしていたのも驚きです。
 もう一つの工房、西日暮里工房は貝塚が多くある所で ハマグリを主体とし、ヤマトシジミ、カキなどの貝類、アジ類、スズキ属などの魚骨、イノシシ・シカなどの獣骨など多様なメニューだったようですね。消費税、住民税、法人税、固定資産税 武器を輸入する際の関税も無く食費も無料ですから縄文時代は出産や病で(当時50代の高齢者の骨にガンが見つかった事例もあります)命を落とす以外は、豪族も庶民も呑気な毎日だったかもしれません。
 
 

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